どうしてなにも話さないのかしら?
無言でいられるのがとても怖いのだけれど⋯。
「あ、あの、なにもな⋯⋯」
「──アンタ、どうしてまだ最上くんとつるんでるの?」
背をつけていた壁から離れると、腕を組んだままわたしに近づいてくる。
⋯っ。
あまりにも威圧的すぎて、わたしは一歩近づかれるたびに、一歩後ずさる。
やっぱり、優絆のことなのね。
わたしのいないところでコソコソ話していたから、もしかしたらわたしに何も言ってこないんじゃないかって、心のどこかで期待していたけれど、
そんなうまくいくはずないわよね。
「つるんでるなんてっ⋯」
「──は? 数学教えてもらう時だってそうだった。 アンタが早く教室からいなくなってれば、最上くんが教えてくれたはず! それなのに⋯」
なんで邪魔したの?!
そう言いたげな䈎元さんは、よほどわたしのことが憎いらしい。
