二人のケンカをよそにひとりキッチンにいると、家のインターフォンが鳴った。
きっと夏葉ね。
夏葉を招き入れようと思い玄関に向かおうとすると、
「秋妃ちゃん、俺が出るよ!」
と、岩波くんが軽い足取りで玄関に向かった。
「なんだ、草柳まで呼んだのか」
「え? ええ⋯そうなの」
いつのまにか背後にいた優絆に思わず驚いてしまった。
「せっかくだし夏葉も呼んだらどうかしら?って岩波くんに伝えたら、ウキウキで連絡してたのよ」
あのときの岩波くんがあまりにも幼子のようで、また笑みが溢れそうになる。
「草柳の前だとしおらしいもんな。俺にもしおらしくしてみろっつーの」
「優絆の前でしおらしくされるのはちょっと⋯⋯」
微妙な空気感になりそうだけれど。
