わたしはそのまま買ってきた食材を冷蔵庫に戻すため、ひとりキッチンに向かった。
食材買いすぎてしまったわ。
腐ってしまう前に使い切らなくちゃね。
「なんだよおまえ、まだいたのかよ」
ソファーでゴロンと横になっていた優絆は、カラダを起こすと岩波くんに気づいた。
「秋妃ちゃんが、よかったらご飯食べて行ってって言ってくれたから、そのご厚意に甘えることにしたんだよ!」
「秋妃も和紗相手に気い遣うことなんかねえのに」
「おまえさ〜、嫉妬もほどほどにしないと秋妃ちゃんに逃げられ───」
そこまで言うと岩波くんの声が途絶えた。
かと思いきや──ゲシっとなにかを足蹴りにする音が聞こえた。
驚いたわたしが二人に目を向けると、
「痛え! いきなりなにすんだよ」
「余計なこと言うからだろ?」
「余計なことなんかなにひとつ言ってねし」
「言ってる。余計なことしか言ってねえよ」
ギャーギャー騒ぎながら、仲良くケンカしていた。
まったくもう⋯仲が良いのか悪いのか。
