「なんかお腹空いたね」


「そうだね、ファミレスでも行こ!」



楽しそうな会話の後、わたしに気づくことなく、2人はその場を後にした。


さきほどまで晴天だったわたしの心は、一瞬にして雨雲に覆われてしまった。



最悪ね⋯。



心苦しくなってしまい思わず空を見上げると、そこには雲ひとつない青空が広がっていた。


いまのわたしとは、似ても似つかないほどに。



〝好きだったら別れを受け入れない〟

〝お互いしっかり話し合う〟

〝もう好きじゃない〟



笘篠さんの言い放った言葉の数々が、頭から離れない。



やっぱり優絆は、わたしのこと⋯もう、好きではないのかしら⋯。



「ハァ⋯急いで帰らなくちゃいけないのに⋯」



ひとり佇んだまま動けず、ぽつりと言葉を落とすと、



「あれ、秋妃ちゃん?」



背後から声をかけられハッとした。