䈎元さんは話しているうちに自信がなくなってきたのか、視線を足元に落とした。


そんな䈎元さんの肩に手をおき、励ますように言葉を紡ぎはじめた。



「でも結局は別れちゃったわけだし。 宮里秋妃の気持ちはしょせんその程度だったってことでしょ? 梛央だったらそんな逃げ出すようなことしないじゃん」


笘篠さんの言葉が、鋭利な刃物のように、わたしの心に容赦なく突き刺さる。



〝逃げ出すようなこと〟



それを言われてしまったら、どうしようもないじゃない⋯。


わたしは彼から、優絆から逃げてしまった。


⋯逃げてはいけなかったのに。


自分の気持ちではなく、周りの目を気にして、彼を手放す選択をとってしまった。


自分で自分の首を絞めただけ。


誰がなんと言おうと、わたしが自分でその決断を下したことに変わりはない。


どんな理由があろうと、どんな立場にあろうと、手放してはいけなかったのに⋯。