『幼い頃からから寂しい思いばかりさせてごめんなさいね⋯』
涙ながらに悔いた声でそう言うママは、震えるカラダでわたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
初めてママが心の内に秘めていた思いを聞いたわたしは、自分が情けなくて悔しくて⋯涙があふれてとまらなかった。
わたしを一人にしていることを後悔しながらママは働いていたのに、
どうしてその気持ちに気づいてあげられなかったのかしら⋯⋯と。
それからわたしは、ママの負担を少しでも減らすため少しずつ教えてもらいながら家事をするようになった。
いまとなっては一人でこなせるようになったし、かなり充実した日々を送っている。
家事にまったくの不慣れで、要領も手際も悪かったあの頃が、いまではとても微笑ましくて懐かしいとさえ感じるもの。
過去の自分に思いを馳せていると、机に伏せていたスマホが小さく振動した。
ママから【ハンバーグの気分かな〜】と陽気な文章が一言送られてきた。
ハンバーグはママの大好物だから、とびっきりおいしいの作らなきゃね。
