他の人に聞こえないように、カーテンをしっかり閉めた。

女の子の上に乗り、マッサージをしながら、女の子の声に耳を傾けた。

「私ひろとくんが...、彼氏が、大好きで大好きでしょうがないんです」

「うん」

「でも、ひろとくんは、澪よりもたくさん好きな人がいるみたいで、澪とはあんまり会ってくれないんです」

女の子の下の名前は澪というらしい。

「たまに会ってくれる時は、ずっと澪を蹴ったり殴ったりする。でもそれが終わればいつもの、ううんいつもより優しいひろとくんがいる、、。ひろとくんが私を好きでいてくれるなら私なんでもいいの、」

澪ちゃんの目から雫が一滴こぼれる。

僕は眉を垂らした顔で澪ちゃんをみた。

「澪ちゃん、」

「…?」

涙で潤んだ瞳がこちらを覗いていた。

ドクン。僕の心臓が鳴る。

「澪ちゃんが泣いているのはどうして?」

「っ…」

「澪ちゃん、彼が君を傷つけることは好意じゃないとおもうんだ」

「うるさい」

「澪ちゃん」

「澪、さみしいんだよ。誰かがそばにいてくれなきゃ、言葉を囁いてくれなきゃさみしくてさみしくて死んじゃいたくなるの。」

女の子はうつむいて、また、雫を一滴。

「このあざだって、、、」

彼女が自分のあざに目を向けてなぞる。

おそらく彼女自身でつけたものも少なくないのだろう。