そんな変わった性格が理由かは分からないけど、露は昔からずっと友達がいない。

私が転校してくるまでの露は、クラスの違う拓人だけが唯一の話し相手だった。

拓人が授業の合間のほとんどを費やして、露のところに足しげく通う風景。

まわりはもう、見慣れたものだった。

だけど露は一人が辛いだなんてことを言ったこともないし、きっと気づいてすらいないんだと思う。

あんまり表情も変えないし喋らないから「死神」なんてあだ名をつけられて、からかわれた時もあった。

そんな人たちに露が返した言葉も、これ。

「ありがとう…」

心無い人からは、露が拓人のことを無理やり来させてるー、なんて噂までされる始末。

「日向くんかわいそー」

は?バカじゃない?

あの時は、さすがの私もキレたよね…。

ねぇ…だってさぁ…。

露は何も悪くないんだよ?

それなのにクラスメイトは皆、露がどういう子なのか、何一つ知ろうともしないんだよ?

あげくの果てには、くっだらないひがみ。

ほんと腹立つよね…。

ほんと…。

せっかくさぁ、一緒のクラスになれたはずなのにね…。

だから露が応えた言葉の意味なんて、きっと他の…誰の心にさえも届いてないんだろうな…って思うと、少し悲しくなる…。