「だ…いす…き…」

その言葉を溢した露の表情。

それは拓人が彼女の幸せを知るために、今までずっと求めていた…優しいやさしい笑顔だった。

でも、今は…。

今だけは聞きたくなかった。

言葉の意味…なんかじゃない。

露の表情が意味するもの…。

いや、そんなものでもない。

それが「今」だからこそ…。

拓人は咄嗟に、その意味を理解してしまったのだった。

言葉を失い、強い悲しみに震えながらも、ただひたすら…自分の目に焼き付けられるほどに露の笑顔を見つめる。

拓人はそのあまりに美しい笑顔を見ながら、あふれ出る涙を堪えることはできなかった。

いつもなら、あまり言わない言葉。

そして、出会った頃から一度も見せたことのない優しく笑顔。

それは今…

「最期だから…」と伝えていた。