「露…俺と付き合ってください」

「…はい、こちらこそ…」

…あーあ。

なんだかなぁ…。

でもまぁ、この二人。

いつかはくっつくんだろうなーって、私もずいぶん前から思ってたことなんだけどね。

それに二人が付き合い始めたとしたって、べつに三人の仲が悪くなったりするわけじゃないし。

たぶん、今までどおりだと思う。

私の気持ちとしては、むしろ二人が付き合うことになったのは嬉しいし、二人が一番そういう感じで疎遠になったりするのを嫌がるんじゃないかな、って思う。

私と拓人の間に佇む、涼しげな浴衣姿の露。

ひと夏が過ぎても日焼けの跡ひとつない、白くて華奢な首筋がいつにも増して色っぽく見える。

拓人の言葉を聞いて、少しだけピンク色にはにかんだ露の表情がなんだか初々しくて、女の私が見ても「綺麗だなぁ…」って素直に思った。

てか、友達自慢してどーすんだよ!って感じだよね、あははっ。

私が一番言いたいのは「なんでこのタイミングで告白するんだ?」ってこと。

だって、仮にも私だって二人と一緒に花火を見にきてるんだよ?

つか、二人の隣に私…いるんですけど?

しかも普通さ、告白するならまずは私にでも相談して、なんかこう…外堀から埋めていくみたいな感じじゃないの?

相談どころか、拓人からは告白するっていう話すらされなかったんですけど?

むしろいきなり告白しだすもんだから、聞いてるこっちが恥ずかしかったんですけどー。

せめて相談くらいしろよ!って思ったし、あの時ほどアイツのさぁ…なんていうんだろ。

私に対する気遣いの無さ?

呆れるなんてのを通り越して、むしろ清々しささえ感じたよね…。

なんなんだろ、ほんとアイツ…。

文句の一つでも言ってやりたかったけど、露のせっかくの思い出に水を差したくないし、彼女の嬉しそうな顔見てたらさ…。

なんかこっちが「バカ」みたく思えてきちゃったじゃない…。