親友が見せた涙

急ぎ足で帰り道を進んだ三人は、もう少しで人通りの多い商店街が見えるところまで辿り着いた。

ここに来るまでは何事もなく進んでこられた三人だったが、いつもとは違う「どこか奇妙だな…」と感じられたことは少なからずあった。

それは、誰一人としてすれ違うことがなかった…ということ。

まぁ、そんな日もあるだろう…。

拭えない不安を少しでも紛らわそうと、無理やりにでも気楽に考えていたのは沙耶。

そんな彼女をよそに、商店街を遠目で目視できるところまで近づいた時、先頭を歩いていた拓人が急に足を止めた。

異変に気づいた二人も足を止めた。

誰かの声、だろうか。

これから進む先…商店街のほうから、叫び声のようなものが聞こえる。

三人は目を凝らして、よく見る。

すると遠目で、何かから逃げ惑うような人影が小さく見えた。