親友が見せた涙

緊急避難警報が発令される直前。

ちょうど学校の授業が終わった三人は、いつもと同じ帰り道の途中にいた。

初めに異変を受け取ったのは、拓人のスマホだった。

「なんだよ、これ…」

立て続けに沙耶…そして露と続き、異変は誰一人漏れることなく伝播した。

お互いが手にしたスマホから鳴り響く、不気味なアラーム音。

そして見慣れない警告画面。

三人はそれを目の前にして、ただ呆然と立ち尽くしていた。

「なんなの、これ…」

「……」

アラーム音が止んでもなお、あたりの静けさにさえ胸がざわめく三人。

「地震とかかな…。もしかしたら単なる不具合かもしれないし…とりあえず気をつけて家に戻ろう!」

二人の不安を拭うように、できる限りの明るい声で拓人は言った。

「そ、そうだね…」

応えた沙耶の表情には不安が残っており、露の顔にはわずかながら怯えが浮かんでいる。

「大丈夫、露?。ほら、いこ…」

露の腕を軽く引いた沙耶。

三人は捨て去ることのできない不安と共に、それぞれの家へ向かう足を少しずつ早めるのだった。