それは地元でも有名な、夏の終わりに開かれる名物の花火大会。

三人は遠い月明かりと古い外灯だけの、少し薄暗がりの静かな公園にいた。

寂れたベンチに並んで座り、まだかまだかと花火が打ち上がるのを心待ちにしていた時、拓人が突然隣りにいる露へ話しかけた。

「あのさ、露。俺たちって小さい頃から今までずっと一緒にいたよな。これから先も、俺たちって一緒にいられんのかな…」

「私はタクトと一緒がいい…」

「俺だってそうだよ!」

なんか興奮ぎみの拓人。

「でももし俺が高校落ちたりでもしたら、露と離れなきゃならないし、俺だって露を一人にさせたくない。だからこの際、露に伝えておきたいことがあって…」

「……」

この無言、実は私。

隣りに座っている二人へ手向けられた、たくさんのしょうもない妬みやひがみなんかがぎゅうぎゅうに込められた、私からの冷ややかな視線まじりの無言。

たとえば…

…え、なに?

なんなの…?

なんで急にいい雰囲気になってんの?

てか、拓人さ…。

あんたずっとテストで学年十位くらいキープしてるじゃん。

あんたが落ちるなら、私どーすんのよ?

落ちるなら私だよ、まじでほんと…。

…とか、まぁいろいろ。