朝倉露。

彼女の母親は北欧のエストニアという国の人だと、幼い頃に露から聞いたことがある。

そのせいもあってか、露は見た目から既に日本人とは違う雰囲気を持っていた。

沙耶がよく露のことを「可愛い!可愛い!」と気味が悪いくらいベタ褒めしているが、確かに可愛いと思う。

俺が初めて出会ったときは「人形」だと思ったし、聞くと沙耶も「綺麗すぎて宇宙人だと思った!」らしい。

染めてもいないのに灰色がかった髪や、絵の具のような緑色の瞳。

しかしそんな見た目だけではなく、他にも露は少し変わっているところがある。

たとえば彼女は、嬉しさに堪えきれなくなると、涙を流して泣いてしまう。

でもまぁ、このくらいなら沙耶に「てか、あんたもだけどね、あはっ」と、憎まれ口でも叩かれるだろうな。

あいつは、昔からそういうやつ。

沙耶とはだいぶ長い付き合いで、お互い遠慮もせずに本音でぶつかり合える親友。

だからこそ普段、俺が沙耶と他愛もないこと話しているだけでも、自然と笑い声や口数も増え、周りには俺たちが付き合ってるようにも見えるんだろう。