虜にさせてみて?

唇が離れた後に目が合うと照れ臭いのか、慌てて部屋を出る響。

見てみれば、顔は赤くて。

意地悪を言ったり、俺様で上から目線の時もあるのに、こんな時は真っ赤になって照れたり。

普段はクールなイメージなのに本当は純情で可愛らしくて、私しか知らないギャップ。

駿よりも大好きになってきている。

駿なんか、もう思い出したくもない。

早く東京にでもどこへでも行けばいいのに。

早く、響が戻って来て欲しい。

そう言えば、夜の続きはするのかな?

……って、私は何を考えているのだろう。

何となく、夜の事を思い出しては、頭の中でモヤモヤしている。

寂しい思いなんて忘れたかのように、思い出すのは甘い時間の事。

一人でドキドキして馬鹿みたい。

ガチャッ。

「わぁっ! ひ、響?」

「何でそんなに驚いてんだ?」

モヤモヤしてる時にドアが開いた先には、動揺して心臓をバクバクさせている私が居た。

「な、何でもないよ」

「ふうん……」

響は不思議そうに見て、洗濯物をまとめて再び、部屋を出た。洗濯物は共同の洗濯機でお互いに譲り合いながら、順番に洗う事になっている。

フウッと一息つくと心臓に手を当てて、目を閉じた。

居ない間に落ち着け、私の心臓。