その後、にっこり笑って、「俺が無理矢理、付き合ってって頼んだんだ。だから、ごめんね。連れて来てくれて有難う、美奈ちゃん。行こう、ひより」

響君に背中を押されて、玄関の外に出るように促される。私はそそくさと靴を取り、美奈もその後ろに着いてきた。

玄関先からは『ムカつく』コールが外まで聞こえる。

玄関先に女の子達がまだ群がっていそうなので私は一歩を踏み出すことに躊躇してしまうが、そんな私を見た美奈は気遣ってくれて一緒に駐車場まで来てくれた。

「何とか外に出れて良かったね。ひより、後で詳しく聞かせてよね?」

そっぽを向いている響君と、にんまりとしている美奈。異様な光景だ。美奈をあの場所に一人で戻すのは不安だったが、大丈夫だと言って居たのでお言葉に甘えて駐車場でバイバイした。

響クンの命令により、コンビニへと出発。その後はまだ帰りたくないと言われたので行く宛てもなく、フラフラとドライブしている。

「あの、ガソリン高いんですけど?」

「今度、昼間に出かけた時に俺がガソリン代くらい出してやるよ」

”昼間に出かけた時”に? それはつまり、休みが一緒の日?

「休みが一緒にならないかもよ?」

「その方が好都合だな」

私は響君の気持ちがよく分からない。好かれてるというよりは、暇潰しの都合の良い女?

……まぁ、それでも良いのだけれども。

「美奈の名前、覚えてたんだ」

「騒ぎながら来たんだろ?玄関先まで響き渡っていたから、嫌でも分かった」

相変わらず可愛くない答え方。私達はそんなにはしゃいでいたのだろうか?

それよりも、本当は名前を覚えてくれたのだと思う。美奈は”ちゃん付け”、私には呼び捨てされた事が何だかくすぐったい感じがする。