――お風呂に入り身支度を済ませて、再び響の元へ行くとスゥスゥと寝息を立てていた。
狭いベッドに潜り込み、響と半分こ。
キスの先はまだだけれど、いつも腕枕で寝るのがお決まり。
それだけでもいいの。
心は充分に満たされてる。
でも、今日は少しだけ欲張らせて?
「おやすみ、響」
横向きで寝ている響にギュウッと抱き着いた。
このままで離れたくない。
「暑いんだよ」
そう言いながらも響も腕を絡める。
絡めた腕は、きつく私を抱きしめる。
「部屋、帰れ」
「やだ」
「……今日はお前が泣いても、自分のモノにしないと気が収まらないかも? だから、部屋に帰れ」
「帰らないってば!」
痛い位に抱きしめられていて、息苦しい。
私も離れたくない。
本当は心も体も響のモノにして欲しい。
心の片隅で見え隠れする、駿の事。
今日の駿のキスも温もりも、『諦めないから』という言葉も思い出したくないの。
心は響にあるのに、嘘の優しい言葉なんかで揺らぎたくない。
「響……、私は響が好き。駿なんかもう好きじゃない。信じてくれる?」
真っ直ぐに気持ちを伝えたら、響は照れ臭いのか、そっぽを向いた。
「信じないって言ったら?」
「また泣くよ。今度は泣きわめく」
「それは近所迷惑だから止めろ」
意地悪を言ったくせに、耳元に小声で『信じてる』だなんて反則だ。
不器用であまのじゃくだから、たまに見せる素直さの中に優しさと甘さが沢山詰まってる気がする。
唇が首筋に触れると、私の体は火照り始めた。
駿との初めては緊張でいっぱいだったけれど、響との初めては温もりが心地良い。
このままずっと、じゃれあっていたいような、そんな感じ――