モーニングの時間帯からの出勤予定だったが、遅刻してしまった為、私の代わりにレストランにはフロントからヘルプの人が入っていた。

初めて遅刻をした。

マネージャーに謝ると理由は聞かずに「毎日、頑張っているから疲れたんだよな?」と言われただけで責めるわけでもなく、逆に”頑張ってい
る”と褒められただけだった。

自分で言うのもなんだが日頃の行いが良いと、このような時の対応は違うものだ。

毎度の如く遅刻している社員が居るが、そのような人への制裁は厳しい。

サービス業務はさせずに一日中、窓拭きや掃除をさせられていた。

一緒に働いているスタッフにも謝って普段通りに仕事をこなし、現在は社員食堂にて30分間の昼食の食事休憩中。一日の休憩時間は1時間だが、夕方から夜にかけて残りの30分を
夕方の食事休憩に充てる。

「珍しいね、今の時間にご飯?」

「遅刻しちゃってさ……」

いつもは午後1時過ぎにご飯だけど、今日は11時半。レストランでは、交代で食事休憩を取る。ラウンジでは、レストランから休憩交代の人を出すのでランチ終了時間の14時過ぎになる。

「ひよりったら、響君に振り回されてんじゃない? いやらしい奴!」

「いやらしいって何? 何もしてないんだからっ!」

美奈が隣の席に座るなり、変な事を言ってきたので売り言葉に買い言葉。

「ムキになって可愛いなぁ。それより、今日のバー当番も響君でしょ? 行ってみない?」

今日の夜こそは、あの人に会いに行こうと思っていた。

「明日は遅刻出来ないから、また今度」

「そんなの断る理由にならないよ! どーせ暇なんだから、決まり!」

美奈も結構な我が儘ぶり。私と響君の関係性を知ったので、気になって仕方ないらしい。夜は美奈の彼氏も連れて行く事になった。

美奈は社内恋愛中。後輩と付き合って二年になる。後輩と言っても同い年だけれども。