シュンが?

「出て行ったんだ。シュンと冷静に話を出来るかは自信なかったけど話はして来たから。決着は着いてないけど、シュンには渡さない」

「えっ……と、うん」

響が酔ってもいないのに、こんな真っ直ぐに話をしてくるなんて正直、驚いた。

「昨日はごめん。嫉妬してたし、感情に流されてたような気もしてたし。アノ時、電話が来て良かったのかもしれない。嫉妬の感情だけで抱くのは良くないよな」

「私はそれでも良かったよ。やっと、響と向き合えた気がしてたのに……」

「それならシュンとも話せたし、俺の気持ちも伝えた。ひよりがいいなら、これからは遠慮はしない。でも、旅行の時まで取っておくよ」

クスッと笑って、アタシの右手を取ったかと思うと手の甲にキスを落とした。

「もう寝よっか?」

響がそう言ったので従う事にした。

とりあえずは片付けをして、寝る前の身支度をするべく、一旦、自分の部屋に戻った。

何かがおかしい。

いつもの響じゃない。そう考えながら、身支度を整えてから部屋へと戻った。

「今日は電源切ったから」

「うん」

響がよく話すから、何だか調子が狂うなぁ。

布団の中でも話はまだまだ続いて、シュンの話の続き。

シュンと話をしている間に湊君からも電話があったらしい。私が寝ていたら悪いと思い、寮に戻り次第に私には何も言わずに湊君の部屋に直接行って話を聞く事にしたんだって。

続きは帰ってからって言ったくせに。

とりあえず、千夏さんからの電話を隠していた事に関しては悲しいけれど、湊君からの電話が嘘ではないので安心した。

寂しい思いを沢山したのに、響の不器用なのに優しくて、お人よしな性格が笑えてくる。

その性格が仇にならないといいけれど、響の気持ちも確信出来たし、シュンにも千夏さんへのイライラも消えた。

――響の腕枕で、幸せな眠りにつく。

旅行、楽しみにしてるからね。