身動きが出来ない位、自由を奪われ、束縛された。抵抗する間もなく、唇を塞がれて、息のつく間もなかった――

でも、まだ足りない。ドキドキは足りてるけれど、感情が足りない。この程度では、まだ心は揺るがないから私を貴方で満たして、貴方の虜にさせてみて?

「何だよ?その無表情な顔は……」

「響君ったら、大胆だなぁ」

二人きりの蜜な時間の後、私はクスッと笑って、おどけて見せた。

唇が離れたのと同時に、壁に押さえつけられていた両手首を離される。

「さてと、仕事、仕事!」

「うわっ、切り替え、早過ぎだな」

両手首に残る、掴まれていた感触と温もり。唇に残る火照り。

この人ならば、私の心の奥底にも入って来てくれるだろうか?

私の奥底にある苦しくて切ない想いを消し去って、貴方への想いで満たして欲しい。

満たしてくれたら、その時は――