月下の君には秘密です。



湖の周りは…、
風を遮る物が少なくて、他の場所よりも寒い気がする…。


俺たちは、ここまでの道のりを『時間はないし寒いし』で必死に歩いたもんだから…、
いざ湖に着いてみたら、花火が始まる時間までに15分もの猶予が出来ていた。

イルミネーションは、毎年毎年少しずつ色や形が違っていて、それが花火の前の楽しみでもあるんだけど…



「…すっごい、人が多いね…?」

井上が白い息を大きく吐きながら、俺たちに言った。


「…本当に…。年々人が増えていくなぁ…」

「――…だなッ。」


あの親たちが『今年は行かない』と言っていたのは、
ちょっと正解かもしれない。


闇夜と何色もの光で、
まるで非現実の様にキレイな世界…。
でも、
この人混みで気分は萎える。


昔はもう少し『こじんまり』としていたんだけど…。
年々訪れる人も増えて、イルミネーションにも気合いが入っていって…
夜店まで建ち並んでいる。

人だらけ…
ロマンチックどころじゃない。
現実感ありまくり…。



「…これ、気を付けなきゃ、はぐれちゃうねぇ~?」

そう井上が言った。
月ちゃんが頷きながら、俺に目を向けた。