「それで、わたしに何の用ですか?」


 商品が来て、ある程度小腹が満たされたところで思い切って尋ねる。
 アクセスは、テーブル一杯に並んだスイーツを順番に突きながら、喜怒哀楽の判別しづらい表情でわたしを見ている。身体にピリリと緊張が走った。


「おまえは――――リアンのことをどう思っている?」


 アクセスは真顔でそんなことを尋ねてきた。
 まるで結婚の挨拶の詰問のよう。わたしはゴクリと唾を呑む。
 アクセスはわたしのことを『チビッ子』って呼ぶくせに、寧ろ大人として扱っているような感じがする。そう思うと、何となく背筋が伸びた。


「旦那様はわたしにとって、何よりも大事な人です」


 どんな風に答えるべきか迷ったけど、わたしは正直にそう口にした。胸がドキドキしている。こんな風に想いを打ち明けるのは、現世ではロイ以来だ。


「それは、恋心を抱いている、という意味で捉えて良いのか?」


 アクセスは更に質問を重ねてきた。真顔で尋ねるものだから、中々にプレッシャーを感じてしまう。けれどわたしはコクリと頷いた。


「はい。わたしは旦那様が好きです」


 はぐらかそうかなぁって一瞬だけ思ったけど、旦那様への気持ちに嘘は吐きたくない。わたしの言葉に、アクセスは小さなため息を吐いた。


「そうか。……まぁ、そうだろうな」


 アクセスの瞳に少しだけ陰りが見える。感情が読み取りづらい人だけど、この感じはあまり宜しくない。アクセスの眼差しから『憐み』みたいなものを感じてしまう。


「単刀直入に言う。あいつに恋をするのは止めろ」


 思った通り、アクセスは真顔でそんなことを言った。瞬時に身体中の血液が凍り付くような感覚が走る。心臓の辺りがザワザワと騒いでいた。