「最初は話し掛けても反応すらしてもらえなかったんだけどさ。100年に一度選ばれる竜・鳳・麟の代表に僕達三人が選出されてね」

「……! それでそれで?」

「そこから嫌でも絡みが多くなったから、少しずつ会話ができるようになってさ。最終的にデレてくれた……みたいな感じなんだよねぇ」


 ニコラスは感慨深げに頷きながら、そっとわたしのことを見る。


「そっ……その! 旦那様は竜人族の代表でいらっしゃるんですか⁉」

「うん。まぁ、今はまだ若手の代表って感じだけどね。いずれは種族の長になることを期待されてるのは間違いないよ。リアンを含め、僕等は希少種で、絶対数も少ないしね」


 心臓がドキドキと鳴り響く。
 種族の長って、要は王様みたいな立ち位置ってことでしょう?カッコいいし似合いすぎだ。想像するだけでワクワクする。


「まぁ、そんな感じだから当然女子にはモテたんだけど!」


 だけど、そんな幸せな気分は、ニコラスの一言であっという間に消えうせた。まさに天国から地獄。心臓がめちゃくちゃ大きな音を立てて軋む。
 ニコラスは満面の笑みを浮かべ、わたしのことを楽し気に見つめていた。予想通りの反応が得られて満足って顔だ。