(いや、嬉しいんだけど。嬉しいんだけども!)


 ニコラスの話が本当ならば、この二人は旦那様の親友なわけで。そんな人たちの前でこんな風に扱われる自分をどう捉えたら良いのか分からない。旦那様の愛撫を受けつつ、わたしの頭は完全に混乱していた。


「えぇ? だってさぁ、可愛い女の子が目の前にいるのに、何にもしないとか無理じゃない? 現におまえもその子のこと抱き締めてるし。 だったら僕も、溢れんばかりの愛情を目に見える形で伝えないと――――」

「――――もう一度焼かれたいのか?」


 ドスの効いた声音がニコラスの言葉を遮る。ブンブン首を横に振るニコラスに、わたしは小さくため息を吐いた。


「リアン。それで、そいつは?」


 そう口にしたのはアクセスだった。わたしのことを真っ直ぐに見つめ、小首をかしげて尋ねてくる。


「そいつじゃない。アイリスだ」


 応えつつ、旦那様はムッと唇を尖らせる。それから、わたしに向かってそっと顔を寄せた。


(近い近い! 旦那様、近いです!)


 まるでキスをする直前みたいな近さと雰囲気に、わたしの胸は爆発寸前だ。
 だけど、旦那様のお友達にそんな様子を見せるわけにはいかない。ただただ顔を真っ赤に染め、旦那様の腕の中に収まっている。