十五分ぐらい飛んだところで、ようやく街が見えてきた。
 旦那様は恭しくわたしを降ろすと、そのままギュッて手を握ってくれる。はぐれそうだって思われたのかもしれないけど、手を握れたことの方が嬉しい。わたしはしっかりと、旦那様の手を握り返した。


「すごーーい! お店が一杯ですね!」


 旦那様とゆっくり歩きながら、わたしは感動に目を輝かせる。街はたくさんの人々で賑わっていた。


「アイリス様の元居た町と違ってますか?」


 わたしたちの後をトテトテ追いかけながら、ロイが尋ねる。


「うんっ。わたしが住んでいたところはここよりも小さかったし、人も少なかったから」


 だけど、一番の違いは、ここには沢山の魔族が住んでいるってことだった。

 猫耳を生やした可愛い女の子に、鳥みたいな翼を生やしたお兄さん、ロイみたいな魔獣も普通に歩いているし、何だかわたしの方が異質な存在みたいに見える。
 前世で旦那様と暮らした街の記憶とも違っているから、すっごくワクワクした。