(旦那様、わたしは旦那様のものですよ)


 本当は今すぐ旦那様を抱き締めて、そう伝えたい。だけど、旦那様はわたしが眠っていると思っているし、だからこそ本心を聞かせてくれてるのかなぁって思うから、必死で寝たふりをする。


「良い夢を」


 旦那様は小声でそう囁くと、わたしの額に触れるだけのキスをした。


(どうしよう……本当に幸せ過ぎる)


 夢よりも現実の方がよっぽど甘い。これ、わたしの願望が見せる夢じゃないよね?って聞きたくなるぐらい、本当に幸せだった。


「旦那様も……良い夢を見られますように」


 自分の部屋に戻っていく旦那様を見送りながら、わたしはそっと笑ったのだった。