(怖い……怖いよ…………)


 もしもわたしに悪いところがあって、人生に嫌気が差したことが自殺の原因だったりしたら――――わたしは立ち直れないかもしれない。
 ううん、そうじゃなくても、きずな君が死んでしまう所なんて見たくはない。だけど――――。


「見たい、です」


 それでも、わたしは旦那様に生きてほしい。そのために、わたしがこれからどうしていけば良いのか。そのヒントだけでも掴みたい。


「分かった。それじゃあ、僕と一緒にこっちに来て」


 ニコラスはそう言ってわたしの手を引く。
 祭壇の前に、人一人が横になれる大きさの台が置かれていた。ダイヤモンドみたいにキラキラ輝く、大きな石でできた台だ。促されるままそこに横たわると、台は不思議とわたしをふかふかと包み込む。お布団みたいな心地よい温もりに、自然と瞼が重くなっていく。手には旦那様から貰ったお守りが握られていた。


「ゆっくりと目を瞑って――――」


 ニコラスが手のひらでわたしの目を覆い隠す。
 少しずつ少しずつ、意識が遠くなっていった。