「会いたかったって……毎日会ってるのに」


 きずな君は『仕方がないなぁ』って顔で笑い、それからわたしの頬にそっと口づける。心が一気に熱くなって、愛しさと幸福感が込み上げてきて、わたしはきずな君に泣き縋る。


「こら、そんな風にされたらキスできない」


 きずな君はわたしの顔を上向けると、優しく唇を重ね合わせた。涙で濡れた唇を舐めて、それから甘く啄むように触れて。何度も何度も。まるで「好きだよ」の言葉の代わりとばかりに、口付けを繰り返す。


「……涙、止まらないね」


 きずな君は猶も泣き続けているわたしを抱き締めて、困ったように笑っている。


「良いの……大丈夫。好きが溢れちゃっただけだから」


 わたしはそう言って、ぐちゃぐちゃな顔をして笑った。
 想いを――――「好き」って伝えられることが、嬉しくて嬉しくて堪らない。アイリスに生まれ変わってからずっと、ずっと、伝えたくて堪らなかった言葉だ。


「きずな君、大好き」


 わたしの言葉にきずな君は嬉しそうに笑う。額を重ね、わたし達は触れるだけのキスをした。
 受け入れて、それから受け入れられて。
 現世とは違う。
 すごく、すごく幸せだと思った。