(そっか。ミモザさんと旦那様は婚約していたんだ。……それならそうと、言ってくれたら良かったのに)


 凄まじい絶望感。心が苦しくて堪らない。
 旦那様は、わたしには関係ないと思ったのかな? 言う必要ないって。所詮わたしは愛玩動物でしかないからって、そう思ったのかな?

 異空間に溶け込んでいく『わたし』という存在。少しずつ少しずつ、意識すらも遠のいていく。


(生まれ変わってもまた、一緒になろうって約束したのに)


 前世で旦那様と交わした約束。だけど、もしかしたら約束だと思っていたのはわたしだけなのかもしれない。

 そうだよ。だって切り出したのはわたしだもの。旦那様は仕方がないなぁって笑ってただけで、本当はちっともそんな気なかったのかもしれない。

 本当はわたしと一緒にいたいなんて、これっぽっちも思ってなくて。
 全部全部、わたしの勘違いで――――――。


「逢璃?」