「私、宮田君より10歳も年上だよ」
「そうは見えない行動を時々するよね」

ウッ、意地悪。

「いいお家のご令嬢でもないし」
「そんなの最初から望んでいない」

「過去には順と」
「それは聞きたくない。今だって、あの人の車で帰って来たでしょ?」
「うん、まあ」
確かに送ってもらった。
もちろんただの同期としての気遣いだろうと思うけれど、一緒に帰ってきたのは事実だ。

「この間の丸越デパートの件では、俺もかなり頭に来ているんだ。もう少しで山本課長を左遷しそうになったくらいだからね」

左遷って、穏やかじゃない。
それに平社員の宮田君がそんなこと・・・

「もしかして疑っている?残念ながら俺にもそのくらいの力はあるんだよ。なんなら試してみるかい?」
「結構です」

近々取締役に就任すると言われる宮田君なら、順をどこかに飛ばすこともできるのかもしれない。そんな気がした。
どうやら私は、とんでもない人に火をつけてしまったらしい。