高校2年目の夏休みまで あと1ヶ月足らずといった頃だったろうか
僕と弘明は いつもの様に学校が終わった後
自転車で 一緒バイト先に向かった


「おいっ! ちゃんと働いてるか?」

弘明がキッチンに顔を出した

「あのな 女の体ってのはデリケートなんだよ だからな こうしてこうして…」

と 身振り手振りで嬉しそうに話す店長

その時僕は洗浄器の前に30歳の店長と一緒にウンコ座りして
タバコをふかしながら 彼から恋の手解きを受けていた
今思えば その店長の言い方が実にイヤらしい
ただし 今思えばだけど…
当時は 女というものをまるで知らなかったので このオッサンの言う事を夢中になって聞いていた

この店長 30にしては髪が薄く
そのうっすらと頭の上を漂う髪の毛の有様から
僕達バイト仲間の間では ワカメちゃんと呼ばれていた
もちろん本人は知らない

…と 思う