線香花火



「なんて…、出来っこないよね」


もう殆ど諦めて、彼女に背を向けた時だった


「琉生…?」


聞きなれた声が僕の名前を呼んだのは。


「え…?」


まさかと思って振り返ると、僕を見つめる彼女と目が合った。


また夢を見ているんだと思った。


そんなはずない。そんなこと起こりうるわけない。