線香花火



「あーあ、もったいないや…」


ツーっと頬に冷たいものが流れた気がした。


死んでいる僕に感覚なんてものがあるのかは分からないけど、そんな気がしただけ。


それが涙なのかは分からないけど、どうしようもなく悔しい。


だからといって僕には何もできない。


ただこうして彼女の姿を見ているだけしかできないんだ。


こんなにも近くにいるのに触れられないもどかしさ。


「もしも……」


神様がまだ願い事を叶えてくれるとするのならば、僕はきっとこう願う


「最後にかなちゃんに伝えたい」


最後に彼女と話すチャンスを下さい。


僕の最後のわがままだと思って、どうか彼女に伝えるチャンスを…。