線香花火



彼女はいつも無理して笑っていた。


だけど、本当は泣いていたことくらい僕も分かってた。


彼女には泣いてほしくなくて、笑っててほしくて……。


その隣にはいつも僕が居たかったのにな。


悔しくて拳をぎゅっと握りしめると、なにかを握っていることに気づいた。


「はは…」


それを見て自分の傲慢さに思わず小さく笑ってしまった。


ーー…二本の線香花火。