線香花火



勢いよく玄関のドアに手をかけた時だった


その鋭い痛みのようなものが僕の体に走ったのは。


あの時みたいに目の前が少しずつ真っ暗になっていった。


あの時は一瞬だったのに、今日はずっと真っ暗いまま。


瞼が重く感じてなかなか開けられない。


「ー…琉生」


最後に聞いたのは大好きな彼女の声だった。


僕はそのまま意識が遠のいた。