線香花火



最初は本当に嫌だった。


僕のことなんてほっといてほしかった。


そんな僕にはお構いなしに、彼女は僕を色々なところへと連れ出した。


猫がたくさん集まる路地裏や、近くの丘に小さな秘密基地。


強引だったけど、初めて行く場所や経験することが僕にとってはいつの間にか楽しみになっていた。


だから、僕は少しずつ外に出るようになった。


その度に自分の体が弱いことなんて忘れてしまいそうになった。