断片集



「お前ってあれだよな……一人でどうにでも出来そうなのに、他人のことじゃなくなると、

なにも出来なくなるっていうか、他人のためなら全然苦にならずに出来ることが、一人になると、とたんにだめっていうか」
ぼくは、何もいわなかった。
道の下にはなんかわかんないものがあって、地球はぐるぐる回ってたりして、案外、安定しているものなんかなくて。
本当は、そういう物が、怖いのだろうか。
地球が死なないために、人間が生きているのかもしれない。
なんのために生きているか。地球のためとかだったら、それはそれで面白い。
人類関係ないのかよ! みたいな。
「だったら?」
「……頼ると言うことを、覚えることは出来ないのか」
「一緒に落ちたら死んじゃう、巻き添えになるぞ?」
誰かを、引きずってしまうのは嫌なのだ。とても。
ひとりでもなんとかなるし、ならなくっても、それはぼくのせいで、誰も悪くないのだから、正直、ぼくなんかのことに、そこまで首を突っ込まないほうがいい。
昔、それなのに、わざわざ放っておけないなんて言って戻ってきて、怪我をしてしまう人を見てきた。自分がどうにかなるよりも辛かった。
誰かを迂闊に助けたりして、それで、けっきょくそのことが憎しみに変わるかもしれない。
それは優しいんじゃなくて、ただ、無責任で愚かなことだ。
そんなバカみたいなことを自分で選んで、後悔しても、助けてはあげられない。
だったら、最初から、自分と切り離すべきで、だから、突き離しておくべきだと思う。
自分と他人は、違う。
「死なないから。大丈夫だから」
なんで言い切れるんだよと、思う。
「言い切った方が、暗示をかけることができるらしいけど」
「そうかな」
「ああ。だから、人間は、不確定なものも信じていいと思うけど。周りはなんかよくわかんないけど、少なくとも今生きられているからセーフ! ってな。今、瞬間が大事だ」
「…………」

ぼくは、何を言えばいいかわからなくて黙った。
信じすぎはだめだけどね、と、おどけた方がいいんだろうか?