「足、崩しな」

ペチンと太ももに手を置かれて、少し体がこわばる。大和くんの指は長くて、ゴツゴツしていて……男の人って感じる。

そろりそろりと足を伸ばしていると、「ちゃんと言うこと聞けて偉かったな」と頭を撫でられた。

まだ視界は奪われたままなのに、大和くんの温もりを頭上に感じてなぜか安心してしまう。

「千春は俺のペットだから。
これからゆっくり可愛がってやるよ」

あまりにも優しい声で騙されそうになったが、話している内容に違和感しかない。

「その、ペットって、何?
なんでペット…?」

思い切って疑問をぶつけると、大和くんはあっけらかんとした様子で答えた。

「俺の暇つぶしのおもちゃってこと。
今日は楽しめたからもう帰っていいよ」

シュルシュルとリボンが解かれて、目の前が明るくなる。

「暇つぶしって……」

わたしが非難めいた口調で大和くんに話しかけると、大和くんはまっすぐにわたしを見返し、「自分からお願いしたんだよな?」と有無を言わせない口振りで言葉を被せた。

「俺の言うことは絶対。いいな?」