「ここが……」


 空澄(あすみ)の家———。



 空澄の家に向かっていたときは。
 睡眠不足からくる疲労もあるからか。
 いつもとはテンションが違い。
 そのため多少、勢いに乗っていたところもあったと思う。


 だけど。
 実際に空澄の家を目の前にしたとき。

 本当に来たのだという実感と。
 本当に来ても良かったのだろうか、という思い。
 それらが混ざり合わさって。
 何とも言えないような気持ちになっている。



「遠慮しないで、どうぞ」


 そんな気持ちになっている。
 そのことに気付いたのか。
 空澄が気遣いの言葉をかけてくれた。


「ありがとう、
 おじゃまします」


 そのおかげで気持ちが軽くなった。


「とりあえず、こっちに」


 空澄がそう言い。
 玄関からそのまま一階の廊下を通り。


「どうぞ」


 空澄にそう言われて入った部屋。
 そこはダイニングルーム。


「適当に座って」


 空澄はダイニングテーブルの方を示してそう言った。


 空澄に「ありがとう」と言ってダイニングテーブル(その)椅子に座る。

 そのあと空澄も座った。