「どうした、家に帰ったんじゃなかったのか」


 そう言った空澄(あすみ)は少しだけ驚いた表情(かお)をしていた。


「……家に居たくなくて。
 空澄はどうしてここに……?」


 空澄は違う道を歩いて行ったはず。


「少し寄り道。
 早朝に歩くのって気持ちいいからさ」


 空澄はそう言いながら大きく伸びをした。


「そうなんだ」


 確かに。
 早朝に外を歩くのは気持ちいい。
 今日、しみじみとそう思った。


「なぁ、彩珠(あじゅ)


 そう思っていると。
 空澄が私の名前を呼んだ。


「家に居たくないのなら、
 来いよ」


 ……?

 来い、って。
 どこに……?