「……あの……
 私も……話しても……いい……かな」


 迷っていた、みんなの話を聞くまでは。
 自分のことを話した方がいいのかどうか。


 正直なところ、抵抗があった。
 那覇以外の三人は今日初めて会った人たち。
 その人たちに自分のことを話すこと。

 というか。
 小学生の頃から知っている那覇に話す。
 そのことも抵抗がないといえば噓になる。



 だけど。
 思ったことがある。
 みんなの話を聞いていて。

 みんな、自分の話をすること。
 実は、ものすごく勇気を出したのかもしれない。

 それでも。
 自分のことを話したのは。
 ルームメイトのことを信頼しているから。

 心を開いて歩み寄ったのだと思う。



 だから。
 そうしてみたいと思った。
 私もルームメイトに歩み寄りたい、と。



「あぁ、聞かせてくれ。
 南瀬の話」


 そう思っているとき。
 神倉さんがそう言ってくれた。

 そのすぐ後、佐穂さんと鈴森くんも頷いてくれて。

 それから那覇の方を見ると。
 那覇も見守るように頷いてくれた。



 みんなの優しさに感謝して。
 私は話を始めた。