「いただきます」


 部屋にある六人用の長方形のテーブル。

 そこに私たち五人は食べ物を置き。
 椅子に座り。
『いただきます』の挨拶をした。


 そして、みんなそれぞれがそれぞれの食べ物を食べた。
 そのとき「美味い」や「美味しい」の言葉が連続して聞えた。

 私も一口食べた瞬間、「美味しい」と声を出した。



「そうだ、
 明日、食後のデザートにクッキーを作って持ってきてやるよ」


 そのとき。
 神倉さんが満面の笑みでそう言った。


「本当に食えるのか、それ」


 だけど。
 那覇は思いっきり疑っていて。


「おい、那覇、何言ってるんだよ、
 食えるに決まってるだろ」


 神倉さんがそう言うも。


「まさか俺たちが神倉のクッキーの毒味第一号か?」


 那覇がそう言うものだから。


「あぁっ、なんだよそれ。
 那覇、お前、ケンカ売ってんのか」


 神倉さんがかなり熱くなってしまって。


「ケンカなんか売ってねぇよ」


 だけど。
 那覇は至って冷静で。


「神倉さんのクッキー、楽しみにしているね」


 そのとき。
 女神が舞い降りたかのように。
 佐穂さんが笑顔で神倉さんにそう言った。


「おう、楽しみに待っててくれ」


 佐穂さんの言葉を聞いた神倉さんは一気に機嫌を取り戻した。