「みんなに紹介するわね。
 今日からみなさんと同じ部屋で過ごしてもらう南瀬彩珠(あじゅ)ちゃんです」


 惺月(しずく)さんがそう言うと部屋の中にいる三人が一斉に私の方を見た。


 ……感じる。
 すごく、ものすごく。
 三人の視線が。


 わかるよ、なんとなく。
 新入りのことをじっと見る、そのことは。


 だけどね。
 そんなにもじっと見つめられると。

 しづらくなってしまう。
 挨拶すること。


「はじめまして。
 今日からお世話になります、南瀬彩珠といいます。
 よろしくお願いします」


 そう思いながらも。
 なんとか挨拶することができた。


「はじめまして。
 私は神倉(かみくら)凪紗(なぎさ)
 よろしくな」


 最初に反応してくれたのは。
 あのヤンキーっぽい(少し怖そうな)美女の神倉さん。


「はじめまして。
 私は佐穂(さほ)心詞(みこと)といいます。
 よろしくお願いします」


 次に反応してくれたのは。
 大人しそうな美少女の佐穂さん。


「はっ……はじめまして。
 僕は鈴森(すずもり)響基(ひびき)といいます。
 よろしくお願いします」


 その次に反応してくれたのは。
 大人しくて眼鏡をかけている鈴森くん。


 初めて言葉を交わす(相手)の前で緊張しているのか。
 鈴森くんは少しだけオロオロしているように見える。