「戻るって、
彩珠、無理なんかする必要はないんだぞ。
お前、この家庭が嫌なんだろ。
だから通報なんて脅しなんか気にしないで私らと一緒に行けばいい」
ありがとう、凪紗。
だけど凪紗たちをそんな目にあわせたくない。
「彩珠ちゃんのお父さんが言っていることなんて気にしなくても大丈夫だよ。
私たちはいつだって彩珠ちゃんの味方だから」
ありがとう、心詞。
心詞の言葉、すごく嬉しく思う。
「彩珠さん、僕たちと一緒に行きましょう」
ありがとう、響基。
響基のその気持ちだけで十分。
「彩珠……」
空澄……。
私は大丈夫。
「ありがとう、みんな。
みんながいてくれるおかげで私は元気になれる、力が湧いてくる。
だから大丈夫」
たぶん私は。
ううん、確実に。
逃げていた、親父から。
だけど、逃げない。
もう今までの私とは違う。
空澄、凪紗、心詞、響基。
みんなの存在が私に力を与えてくれる。
みんなは私にとってかけがえのない大切な仲間。
家に戻って、どうなるのか。
それはわからない。
だけど。
いつかは通らなければならない。
親父と向き合って話をするということ。
そのことが済んだら。
会いに行く、みんなに。
必ず。
そう強い思いを抱き。
空澄、凪紗、心詞、響基の目を見る。
私の思い。
それが空澄たちに伝わり。
私たち五人は小さく、そして強く頷いた。