「……好き……」


 気付いたから。


「私も空澄(あすみ)のことが好き」


 自分の気持ちに。


「……私も、って……」


 私が想いを伝えた。
 そのことに空澄は驚いているようで。


「俺が彩珠(あじゅ)に言った好きという意味、
 ちゃんとわかってるのか」


 空澄はそんなことを言っている。


 だから。


「わかってる」


 空澄が私に伝えてくれた『好き』という意味。
 ちゃんとわかっているよ。

 そういう気持ちを込めて。
 空澄の手の指の間。
 そこに自分の手の指を重ね合わせた。


 空澄の手指。
 触れると感じる。

 やっぱり男子だな。
 私よりも大きくて骨格もしっかりしている。



 私の行動に。
 空澄はまたまた驚いているように見える。


 ただ。
 さっき驚いたときと一つ違うことが。

 それは——。


 空澄は私のことを見つめ……。

 空澄のことを見つめている私の顔に空澄が自分の顔を近づけ……。