ドキドキする…。
ついにパーティー当日、私たちの出番がやってきた。
「次は、1年5組の男女逆転シンデレラです。どうぞ」
幕が上がっていく、それとともに私の心臓もドキドキしていく。
私が書いた台本が、こうしてみんなの前で劇としてみていてくれているなんて、嬉しい。
体育館裏で、みんなのことを手伝いつつ劇を見ていると…トラブルが起きた。
「意地悪なシンデレラは、黙って掃除の仕事をしていればいいのよ」
「はい。っ…」
そうたくんが、突然舞台の端に足を踏み外して落ちそうにっ…。
よく見ると、セリフを言いながら矢崎まなとがどんどんそうたくんのほうに近づいて行って…そうたくんが足を踏み外して、落ちそうになっていたみたい。
どうしよう、どうしよう…助けないといけないのにパニックになって。
私は考えるより先に助けに行った。
「大丈夫っ?!」
どうにかキャッチした。
落ち着いて考えてみると、お姫様抱っこしちゃっているぅ~!!!
少し恥ずかしい、女装中でよかった…。
それより、パンダ先輩じゃなくてそうたくんが狙われるなんて…。
矢崎まなと、絶対に許さない。
「このみ、ありがとう」
こんな時でもお礼を言ってくれるそうたくん、その手は小刻みに震えていた。
「無理しなくていいんだよ、そうたくん」
「いや、せっかくこのみが考えてくれた台本の劇、続けたいから」
そう言いゆっくりと立ち上がり、コツコツと足音を立てて階段を上っていく。
その姿は、私が思い描いていたシンデレラそのものだった。