「グラナティス様、ご機嫌よう」


「え、と……こんにちは、ミレブラウ嬢」


「あら、グレイスとお呼び下さいな」



こんにちはですって。こんにちは。かわいいがすぎると思うんですけど好き!!!


あのデビュタントの後、慌てふためく周囲に硬直する麗人、そして鼻息荒く婚姻を迫るわたしとそれはもう混沌渦巻く会場を収めたのはわたしの家族とヴィジュレ家の皆様だった。


わたしはお兄様にスコーンと頭をはたかれ飛んできた両親に両脇を掴まれその場を連行、固まったままのグラナティス様はご家族に連れられて会場を出ることに。フォローもヴィジュレ家の皆様に被せることになってしまってとても申し訳ないと思っている。


しかしそれはそれ、これはこれ。これで終わりになるなどとわたしが納得できるわけもなく、両親にせっかくの機会をなぜ取り上げてしまうのかと猛抗議をかまし駄々もこねまくり、ようやっと手紙を送ることを許してもらってヴィジュレ家に突撃。


ちなみに本来ならばこちらもとてつもないマナー違反だけど、とても寛大な心でヴィジュレ家の皆様は許して下さった。どの方も優しい人たちだったのでこちらとしても一安心。特に家族は天に拝むほどに安堵していた。小心者ねぇ。