うん、もともと外堀は埋めてあった。できる限り早く一緒になりたかったからとてつもなく頑張って埋めたよね。肝心の本人の気持ちがわからなかったから完全にはなっていなかったけど。


だがしかし!!もうすでにお互いの想いは確認しあっているのだ!!これはもう良いのでは?完全に埋めてしまっても問題ないのでは?!?ゴールインしても文句ないのでは?!!?!


と失神から目覚めた後に飛び起きてひとしきり喚いたけれど、突っ走るであろうことを予測されていたのか先に手を打たれていた。お兄様めぇ………!!!


貴族の体裁として婚約期間を設けてから婚姻すべし?最低半年は婚約期間を?そんなことなど知ったものですか、わたしの心はすでにグラナティス様との新婚生活を送る気満々だったというのに!!!!


だいたい紙切れ一枚に署名するだけで合法的に夫婦になれるのならもう強行しても良い気がする。わたしの力を持ってしてなら教会に婚姻証明書を強奪…ではなくて穏便に差し出してもらうことなんて簡単ですし…………いけるのでは??



「私は嬉しいよ?貴女のことを、その、婚約者だと皆に言えるのは今だけだからね」


「ふぁっ?!?!」



こここここ婚約者!!!そ、そうですわよね、婚約者……グラナティス様の婚約者。つまり恋人!!!?