チョキチョキチョキ・・・

私はこの音で目を覚ました。保健室にその音だけが響く。

少し不気味に思ってカーテンから覗くと、マネキンがいた。

「キャー」

思わず叫んでしまった。あの噂のマネキン。本当にあったんだ・・・。

「ごめん、起こした?有野先生、急用ができたみたいで、青木さんのこと頼まれた」

「うわっ」

びっくりした。急に目の前に人が現れた。


「あれ?もしかして俺がいること気づかなかった?」

「はい、マネキンが置いてあることしか」

「あはは、それで叫んでいたのか、かわいいね。ところで体調は大丈夫?」

「少し良くなりました」

「そっか、熱は・・・」

「キャッ」

私のおでこに先輩のおでこが当たってる。
先輩の顔が近い。今、たぶん顔が真っ赤だと思う。

「ふふふ、反応かわいいね。熱はなさそうだね」

「先輩が意地悪するから」