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――その日の仕事帰り。

スッキリしない気持ちを引きずったまま仕事を終え、運転手つきの大道寺家の車で帰路につく。
通勤を心配する隼人さんの計らいで、帰りはいつも世話になっている。

自宅のある高級住宅街ともいわれるアッパー・イーストサイドまでおよそ十分。

マンションのロータリーで降ろしてもらい、コンシェルジュさんに笑顔で出迎えられる。

「大道寺さま、お帰りなさいませ」
「いつもご苦労さまです」

郵便物や荷物を受け取り、部屋に向かう。